古くて肥大化してしまったものを目的から考え直して新しくスリムな姿に仕立て直す感覚Simplification(簡素化)を成功させるの2つの視点をご紹介します。
マイケル・ハマーは自著「リエンジニアリング革命」の中で、
BPR(Business Process Reengineering)を次のように定義しています。
コスト、品質、サービス、スピードのような
重大で現代的なパフォーマンス基準を
<劇的に>改善するために、
ビジネス・プロセスを<根本的に>考え直し、
<抜本的に>それをデザインし直すこと
ここで注目できるのが<劇的に><根本的に><抜本的に>という言葉です。
改革を行おうとするとき、総論賛成で始まったものの各論反対で、
最初に描かれていたきれいな絵はどこへやら・・・。
慣習や伝統によって連綿と受け継がれてきたものの、
今では形骸化した従来のやり方と体制を踏襲しつつ、
新しいものをその上に取り入れようと、折衷案が始まるのです。
一見、良さそうに思えるその案も、実際は、
新しいもので古いものが中途半端に壊れるだけで、
古いもので新しいものの機能や効果が発揮されず、
結局なんだったのかということに・・・。台無しです。
まさに、古い皮袋に新しいぶどう酒を入れる惨事です。
弾力性が失せてしまった古い皮袋に新しい発酵途中のぶどう酒を入れると、
炭酸ガスによって内部の圧力が高まり、一気に張り裂けてしまうそうです。
そうすれば、皮袋もぶどう酒も台無しになってしまいます。
新しいぶどう酒=新しいビジネス・プロセスには、
新しい皮袋=体制作りをいつも意識しなければなりません。
活気がなく融通性に欠ける古い皮袋を捨てる勇気が必要です。
そしてもう一つ大事な点があります。
古いものより小さ目の新しい皮袋を準備するということです。
簡素化した結果は、必ず効率性を高めてしかるべきですし、
時間の経過と共に皮袋は大きくなる傾向があるからです。
小さい皮袋でいいのです。
新しくて小さな皮袋。
改革を成功に導くこのシンプルな視点が、実際にはとても難しいものですが、
参画者全員がいつも念頭に置いておくべき大切なコンセプトです。
改革プロジェクトのキックオフで、Our Goalなどと大義が掲げられることが多いですが、
そういう機会だからこそ、トップも含め参画者が<考え方>の共有を徹底しておくと、
各論に落ちてもブレにくくなります。