組織(会社)が個人に対して働きがいを与えるには、次の3つの条件が必要であるとドラッカーは述べています。
①生産的な仕事
②フィードバック情報
③継続学習
とりわけ、軽視されがちなのが②だと感じます。マネージャは往々にして、自分自身の期待が部下の成果に与える影響の大きさを的確に評価できない場合が多いのです。こんなことはないでしょうか?
ある部下が高い潜在能力を持っていると感じ、その能力を引き出すように支援する。その結果、その人は開花して、マネージャ自身の最初の見立てが正しかったと判断する。逆に、潜在能力が低いと感じた部下に対して、あまり関心を払わない結果、その部下は無気力さを示したり気乗りしない振る舞いをして、マネージャ自身の最初の見立てはやはり正しかったと、自分を納得させる。
こういう現象を、心理学的に「ピグマリオン効果」と読んでいます。ギリシャ神話に登場するピウグマリオンは、自分の彫った彫刻像の美しさを強く信じたために、その彫刻に生命が与えられたという話からきているようです。
ピウグマリオン効果は学校で先生が生徒に対して示す態度でも表れます。様々な人間関係において、いわゆる「レッテルばり」によっても生じ得ます。システム思考においては、このピグマリオン効果、つまり、自己の持つイメージが高ければ結果も高い方に”誘導”され、逆に低ければ低い方に”誘導”されるこの現象を、「自己強化型プロセス」と呼んでいます。
組織におけるマネジメント、とりわけフィードバックがどれほど重要かを物語るものです。人材育成においても、”成長すると信じる”こと、期待を表明することの価値を認識していきたいものです。