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「台北便り」

台北に来て一月がたちました。バンコク、プノンペン、台北と巡ってきてすっかり、熱帯男になった気分です。暑いところにいるとさぞかしビールがおい しいだろうと想像されるでしょうが、ところがまったくそうではない。なにせ、一日中ペットボトルを持ち歩いて、水ばかりのんでいますと、夜になってもちっ ともビールがおいしくないんです。とはいえ、あとでおいしくビールを飲むために水を控えるなどということをしますと、熱中症にかかってしまいます。おかげ で、体はだいぶ絞れました。

台湾の仕事文化について、あれこれといろいろな人にインタビューしています。定量的なデータとの照合はまだですが、定性的観察の生の印象を綴りたいと思います。

まず、台湾の経済は中小企業によって支えられているようです。GDPの80%は中小企業によるものであり、残りの20%が大企業および、国営企業によるものだそうです。このあたりは、韓国と真逆の構造ですね。

台湾人は、独立意欲が高く、皆が「ラオバン」になりたがります。「ラオバン」とは店屋のおじさん(店主)、および社長さんのことです。今風に言えば、企業家精神が旺盛だということだと思いますが、これが元々の華僑精神なのかもしれません。

しかし、元来の華僑精神に加えて、台湾という国(?)の特殊な性格も関係しているようです。ともかく、中華民国を承認している国が少ないので、貿易 を行うにしても、国のバックアップも、母国の金融機関の援助も期待できない。全部自分たちでイッポンドッコでやっていかねばならない。その分、台湾では NGOの活動がとても盛んで、そういう面での先進性を随所に感じます。

女性の社会進出も盛んで、夫婦別姓は当然のこと、男女は対等に競争しています。子供が生まれると、一ヵ月半の育児休暇が与えられますが、その後は職 場復帰します。託児所、保育所の類もあるようですが、週中は、バオム(保母の「保」と女偏に母と書きます)と言われる乳母に預けっぱなしにする(週末は実 の両親のところに帰る)というシステムがあるようで、これが盛んに利用されているとのこと。

費用は3万台湾元(10万円くらい)/月。若いお母さんだと、サラリーが飛んでしまう額です。

そうした中で、出生率はどうかといえば、なんと世界最低水準。日本よりも低い。背景について、現地の友人は、、晩婚化と教育費の高騰をあげていまし た。教育費に関しては、たとえば幼稚園。昨今は幼稚園における英語教育が盛んで、その月謝は、大学の学費以上なんだそうで、いやはや大変です。同じアパー トに住む夫婦は、息子を中米のベリーズに留学させています。なぜベリーズかと言えば、英語が公用語で中華民国を承認している国が他にないからだそうです。

台湾人は「家族が一番」といった人たちでもある。仕事が終わると、まっすぐ、帰宅。家族との時間を大切にします。「日本人のように、アフターファイ ブの付き合いのようなものはない」とは、私の中国語の先生の談。実際、いわゆる飲み屋街(東京でいう歌舞伎町みたいなところ)以外のところには飲み屋が見 当たりません。淡水という観光地があって、先週末にそこに繰り出したのですが、ものすごい人ごみなのに、それでも酒場がみつからない。それどころか、食堂 に入っても、ビールさえ置いていない(これにはびっくりしました)。士林市場というところに立ち食い寿司屋があったので、試しに食べてみた時も、ビールは 飲めませんでした。

昔、スウェーデンが貧しかった頃、仕事が終わったら、酒を飲まずに勉強をしようというような国民運動があって、それが今日の彼の国の繁栄の一つの出 発点になったと言う話をきいたことがあります。「台湾の奇跡」の背後にも、お酒でONとOFFを分断してしまわない、ライフスタイルがあったのかもしれま せん。

うーーん、台湾、ディープです。

再見!

Love & Work !!