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Work2.0(その3)

プノンペンは雨季に入り、夕方以降の外出がままならなくなりました。水が道に溢れ、車が動かなくなってしまう恐れがあるからです。

さて、私は昭和30年生まれ(不作の29年度組みで、55年体制の申し子)で、TVも洗濯機も冷蔵庫も物心ついてから、家に入ってきて後に爆発的に 普及した、そういう世代にあたります。長じて 95年にコンサルタントとして独立しましたが、ちょうどその年にWin95が発表され、以後、PCの普及やシステムのオープン化、そのネットワーク化、 WWWの登場とインターネットの普及、そして社会全体の情報化、ネットワーク化、経済全体のグローバル化、フラット化、労働市場の流動化・・・といった新 製品、新技術、新潮流の発生と流行を体験し、目撃し、観察し、批評し・・・てきました。どうも世代的にそういうめぐりあわせみたいなんです。

インターネットが普及し始めたころ、ある研究会でこういう発言をしたことがあります。

「日本ではこれまで汎用品というものは普及したためしがなかった。料理用具を見てもすき焼きにはすき焼きなべがあり、ジャブシャブにはそれようのな べがあり、湯豆腐には湯豆腐用のなべがあり・・・、といった具合。PCというのは文化的背景の下では稀有な存在。そこで、こういう問いが発生する。

<PCって何ができるの?>

その答えのひとつが<インターネット>ができる。つまりPCがインターネットという通信システムの端末になろうとしているということ。固定電話シス テムの端末のような端末でしかない端末ではなくて、 CPUを持った端末がPCであり、端末がCPUを持つということがインターネットのネットワーク型の通信システムとしての特徴。そこで今度は次の問いが生 じる。

<インターネットって何ができるの?>

それにどう答えるか?云々・・・。」

その問いに対する答えは以後、さまざまな形で変遷してきました。最初はHPを<見る>ものだったインターネットが、B2CあるいはB2Bのビジネス インフラとして<使う>ものとなり、さらに SNSのようなコミュニケーションツールのためのインフラとなっています。以前は端末としてのPCを含む物的なシステムとしてのインターネットがインフラ として存在し、それをプラットフォームとしてメディアとしてのインターネットがあり、その上にコンテンツやアプリケーションおかれているという感じだった ものが、今ではインターネットとその上に存在するアプリケーションが、技術的・物的側面が不可視化されたサービスとなり、ユーザはインターネットのユーザ ではなく、そうしたサービスのユーザとなっています。

インフラ>プラットフォーム>メディア>アプリケーションといった論理的階層構造やその物的実体が不可視化され、その全体がサービス・プラット フォーム化して、ユーザがその全体をサービスとして利用するという段階においては、その乗りこなしのための利用技術の洗練が求められるようになります。 ちょうど私より少し若い世代にとってはTVの存在そのものは所与のものであり、その利用技術が幼いころから身体化されていたように、今後ビジネスシーンに 順次登場することになるインターネット・ネイティブの世代(生まれたときからPCが家にあって、インターネットに接続されていた世代)にとっては、イン ターネットの存在は所与のものであり、ネットワーク上での振る舞いは第二の自然として身体化されてい ます。そうしたインターネットの使われ方の次元が進化した様は、昨今Web2.0といったタームで示唆されつつあります。

同じことが「働く」ということに関しても起きているのではないか?そのことを問うためにWork2.0というタームを造語してみました。では「働く」ことはどのように2.0化しているのか?いよいよ本題ですが、それはまた次回。

再見!