月別アーカイブ: 2012年4月

「自分だけのストライクゾーンを見つけ、 いつでもそこに剛速球を投げ込む制球力」

「発言については一切手を抜かず、渾身の剛速球を投げる。
しかし、ストライクゾーンははずさない。
暴投することもなければ、デッドボールを投げることもしない。
自分だけのストライクゾーンを見つけ、

いつでもそこに剛速球を投げ込む制球力を身につけた。」
(加藤嘉一、「われ日本海の橋とならん」より)

加藤さんは「中国で一番有名な日本人」と評される人物。
1984年生まれ、28歳。
静岡生まれ、生粋の日本人。

彼は、2005年に反日デモが北京であったときに、北京大に留学生としていて、現地のTVにコメントを求められます。
その際の対応、コメント力で一躍時の人となり、現在では「中国で一番有名な日本人」といわれるまでになる。
なにせ、中国の国家主席がかれのツイッターのフォロワーだというのですから驚きです。

自分より若い世代に、見るべき人を見つける。
これは歳を重ねた者だけに許される数少ない喜びの一つです。

“Look! The man!”

青木十良

「90歳を超えると上手くなるのに時間がかかる。
それを定着させるのにも時間がかかる。」
(青木十良、映画「96歳のチェリスト青木十良」より)

先日、青木十良さんのドキュメンタリー映画を観て来ました。
澁谷のマイナーな映画館は満席+立ち見で一杯。
通路に座っている人も。
こういう光景は学生の頃に「アートシアター新宿文化」で出合った以来。

観客は皆、私より年長の方々に見えました。
凄い熱気。

彼は90歳を超えてからバッハの無伴奏チェロ組曲に挑戦。
先ごろ全曲の録音を完成させました。

90歳のときに第6番を録音して、6年かけて、5→4→3→2→1と逆順に挑んだようです。
指が動くうちに技術的に難易度の高いものからはじめて、だんだんとはじまりのバッハに戻っていく、そういう見通しがあったようです。

その彼が、毎日5時間練習する、その練習について語ったのが上の言葉です。
上手くなりたいかなりたくないかではない。
上手くなれるかなれないかでもない。
時間がかかるそれだけが問題。
でも時間はある。
あるから生きている。
だから生きている時間をかければいい。
そう言っているように聞こえました。
アッパレ!

彼のCDの表紙にはこう書かれています。
<翁にして童>

いいですねー。
ソウイウヒトニワタシモナリタイ