カテゴリー別アーカイブ: ワールドカップ、育成、地域主義

ワールドカップ2

WCが終わりました。
今回のWCはテーマになりそうなトピック、キーワードが二転三転したことろが面白かったです。

最初は、新ボール~GKの受難。
次いで、日本の健闘。
さらに、南米の優勢(ウルグアイ、パラグアイ、チリ、ブラジル、アルゼンチン)と欧州の苦戦(スペインの初戦敗北、フランス、イタリア、イングランドのGリーグ敗退)。
その背後にあった「堅守速攻」というトレンド(ドイツ、ブラジル)。
また、「育成」や「世代交代」の成功(ドイツ、スペイン)と失敗(イングランド、イタリア、フランス)。
それに伴う、チームの一体感の優劣(日本チームの団結力とフランスチームの空中分解)。
そして、南米勢の脱落と欧州勢の巻き返し(ドイツ、スペイン、オランダ)。

「堅守速攻」一辺倒のチームが結局決勝に残れず、最後はパスサッカーのスペインの優勝。
そうか、岡ちゃんが目指していたパスサッカーっていうのはああいうのを言うんだとスペインを見ていて納得してしまいました。
TVで解説者が「哲学とトレンドの融合」というようなことを言っていましたが、今回日本は「哲学」を捨てて、「トレンド」を優先させ、一定の成果を挙げた、でもそれだけではトップにはなれない、ということなのでしょう。

トレンドということでいえば、最後に残ったのは、「堅守速攻」ではなくて、「育成」と「地域主義の克服」の二つだったと思います。
スペインは地域主義が健在の国で、ナショナルチームの勝利より、バルセロナやマドリッドが対決する国内リーグの帰趨のほうが重視されるお国柄。
そうした「地域主義」のおかげでかえって「国内リーグ」のレベルが高く、ナショナルチームの代表選手を国内リーグから選抜できる。
さらに、今回はそうした「地域主義」の負の部分を克服してナショナルチームとしての一体感が高度に備わったチームが出来上がった。

フランスWCの時はジダンをはじめとする移民の力でフランスが勝ったとされました。
ネイションステートの民族性の克服というのがテーマだったわけです。
今回は「地域主義の克服」。
ヨーロッパというところはまだまだそういうところにテーマと葛藤がある所なんだということがよく分かります。
イングランドなんか、いまだにイギリスではなくてイングランド(という地域)だものね。
まあそういうのも嫌いじゃないですけど。

今回のスペインのナショナルチームはバルセロナの選手を中心にリアルマドリッドの選手が加わった構成なんだそうですが、地域ごとの「育成」(特にバルセロナの育成システムは有名)と国内リーグのレベルの高さゆえのナショナルチームのチームビルドの容易さ(外国でプレーする選手との混合だと練習時間が限られる)が相まってああいうチームが出来上がった。
オランダとスペインは似たもの同士、同根のチーム(クライフのトータル・フットボール)ですが、「地域主義とその克服」という要素がプラスされていた分、「勝つ資格」においてわずかに勝っていた、そんなふうに思います。

「育成」と「地域主義の克服」って、日本の企業の課題そのものでしょ。
この課題と取り組むために新しい物語を紡ぐ、インサイトの使命もそこにあります。
勉強になりました。