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浅川智恵子さん

「結果はどうあれ、一度始めたことは最後までやる。
これは私の生き方です。
目が見えない人間の選択肢は限られている。
少ない選択肢の中から選んだものを諦めたら他にやれることはない。
健常者なら次を探せるでしょうけど、私たちには簡単じゃないんです。
決めるときは真剣に考え、選んだからにはやり抜く。
それと2つ選択肢があったら難しいほうにチャレンジする。
こうしてやってきました。」
(浅川智恵子、日経6月5日夕刊「人間発見」欄より)
浅川さんはIBMのフェローという肩書きをお持ちの方。
IBMフェローというのはIBMの技術職の最高位で、全世界のIBM社員40万人の内の100人に満たない。
日本ではノーベル賞受賞者の江崎玲於奈さんに続く5人目。
視覚障害者で、2人の娘さんの母親でもある。
視覚障害者の情報アクセスビリティの向上のための研究~開発で大きな業績を挙げておられます。
例えば、「紙の点字をデジタル化する点字編集システム」、「点字検索システム」の開発など。
それまでは、英語の辞書を調べるのに、全100巻に及ぶ点字辞書をくくらなけっればならなかった。
それがデジタル化されて、いかに便利になったかは容易に想像できます。
ご本人もこう述懐しておられます。
「私自身が苦労した経験がもとになっています。
実用化したものが自分の役にも立つ。
楽しかったですね。」
高齢者や非識字者といった情報アクセスビリティに障害がある人は世界人口70億の1/3に及ぶ。
だとすれば、視覚障害者はある意味、マイノリティではないことになります。
逆かな?
むしろ、自分のマイノリティ性に気づけるという点でアドバンテージを持っているのが視覚障害者だというべきなのかもしれません。
すべての人(個人)は残りの全人類との関係では常にマイノリティなのですから。
浅川さんの業績はそうしたことを証明して見せた。
アッパレです!