「仕事の充実はどこから来るのだろうか?」

「仕事の充実はどこから来るのだろうか?
立身出世したり名を知られたりすることよりも大切なのは、一緒に働く人を大事にすることではないか。
『この人とこういう仕事が出来た』と納得できる経験を積み重ねた先に、働くことの喜びがあると私は思う。
仕事とは『自分らしさ』を際立たせるという考えがあるが、それは違う。
自分とは外からの反響音で確かめるものだからだ。
現実には誰もが仕事人として大成できるわけではない。
既成の評価に一喜一憂するのは寂しい。
たとえどんなに他人に評価されても、自分の中で手を抜いていい加減な仕事をすればそれはゼロだ。
自分を評価する視点は自分の中に持つしかない。
自分が設定したラインを超えようともがくとき、人は初めて己の仕事に誇りを持てる。
自分の中に目標を設け、スポーツのように必要な準備を一つ一つこなしながらそこに向かっていく。
毎回超えられなくてもいい。
だが、超えたいという意志を持ち続けたい。
そんなふうに仕事に臨みたいと思う。
私は丁稚に行った先で面白いことを見つけ、工夫し、いい仕事をしたような人に魅力を感じる。
小説に書いてみたいのも、そんな人物だ。」
(木内昇、日経2012・10・31夕刊、インタビュー記事より)

木内さんは時代小説の書き手。
新作の「ある男」が出たばかりです。

読んでみたいと思います。

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