「行蔵は我に属す、
毀誉は他人の主張」
(勝海舟)
“The decision whether I should resign or remain belongs to me.
It doesn’t matter to me if others commend or criticize me.”
「こうぞうはわれにぞくす、きよはたにんのしゅちょう」と読みます。
出処進退は自分が決める、
広く、「毀誉褒貶」(きよほうへん)は所詮他人事であるという意味にもなります。
勝海舟が旧幕臣でありながら、明治新政府に出仕したことを福沢諭吉が難じた時に、彼への返書の中で述べた言葉です。
全体としてはこうなります。
「行蔵は我に属す。
毀誉は他人の主張。
我に与らず我に関せずと存知候(われにあずからずわれにかんせずとぞんじそうろう)。
各人への御示し御座候とも毛頭異存之無候(かくじんへのおんしめしござそうろうとももうとういぞんこれなくそうろう)。
御差越の御草稿は拝受いたし度、御許容可被下候也(おんさしこしのおんそうこうははいじゅいたしたく、おんゆるしくださるべくそうらうなり)。」
内田樹訳ではこうなります。
「出処進退はその人が自己決定することである。
その成否や理非を論じるのは他人の仕事である。
私のことはこう評価してください、と他人にあれこれリクエストする筋のものではない。
私への批判の文章、じゃんじゃん世間に発表してくださって結構。
でもいただいた草稿はなかなか面白いので、このままくださいね。」
上手い訳だなー!
出処進退はその人が自己決定することだから、他人はとやかく言うな!と言っているのはないところがいいでしょ。
他人はとやかく言う、そういうものだ、おおいにやってくれ。
でもそれは自分の問題ではない。
というところがいいと思うわけです。
さすが勝海舟。
彼を批判した、福沢諭吉の文章、これがまたいいんだ!
でも、それはまた別の機会に。