「排泄は全身の姿勢や動作を背景とし、神経機構の協働によって行われる」
“Excreting is performed by coordinated nerve mechanisms,
having the total physical posture and actions as its background.”
竹内さんは、特別養護老人ホームで「オムツはずし戦略」を実施して、「オムツ・ゼロ」にまで成功した医師です。
彼は言います。
「特養にいる少数の看護師、医師、理学療法士は専門家と呼ばれてはいても、一皮向けば『病院における専門家』なのであって、病院を離れた生活の場のことについては、知らない。
医療は生活のプロセスに付き合っていけるほどに、長期的な手立ては身につけていない。
したがって、医療における専門家も、まったく無力な存在となっていき、その教科書的知識は無残にも破綻していく。
結論的に言えば、生活と人の人生に立ち会って、そこに生じる様々なことに回答を与えられるものを、現代の医学や看護学は待ち合わせていない。
だとすれば、新しい概念と方法論が発見されるべきであった。」
そして、排泄感覚がなくなるのは感覚能力の「廃用症候群」、つまり使わないから機能が失われるのであって、リハビリで取り戻せるということを発見します。
そして、「オムツ・ゼロ」に成功する。
「あらゆるものが含まれ、相互に複雑な仕組みの中に統合され、一つのまとまりのあるものとして成り立っている『生活』は、その複雑さのゆえに飢えや病にも冒されやすい。
医学はそのうちの病を<取り出して>、それを治すことで小宇宙の秩序を回復しようとしてきた。」
といい、<生活と医学のギャップを埋める医療>の必要を説いています。
立派ですね。
さあ、今日も自分の「排泄」の中に、「全身の姿勢や動作を背景」とした「神経機構の協働」を感じ取り、「あらゆるものが含まれ、相互に複雑な仕組みの中に統合され、一つのまとまりのあるものとして成り立っている『生活』」をその統合された全体性の内に生きましょう。