頭からぶっつかって行く

「相撲」というスポーツの特殊性について、内田さんの本にあったことを読んで、思い出したことがあります。
次の場所、休場が決まった日馬富士が横綱になったとき、TVであるインタビューアが貴乃花親方にこう質問しました。

「日馬富士は入門時にはあんなに小さかったのに、なんであそこまで大きくなれたんですか?」

それに答えて、貴乃花親方曰く、
「相撲というのは、唯一、頭と頭をぶつけ合ってする競技です。
頭と頭をぶつけ合うといったことを毎日の稽古で行っていると、身体の方が『もっと大きく、強くならなければいけない』とわかって、『大きくなろう、大きくなろう』とするんです。
だからあんなに大きくなる。」

元々大きい人が、たくさん食べるから、さらに大きくなって、ああなる、というんじゃない。
「大きくなって、強靭になって、自分の身体で自分を守れるようにならないと生きていけない」と、身体が、身体で分かる程に、身体に教える、そういう稽古をしているんだ、ということなんでしょう。

内田さんが言う、「たとえ凡庸な身体能力しかもたないものについても、そのポテンシャルを爆発的に開花させることのできる能力開発プログラム」というのはそういう稽古のことなんだと思います。

私も、<頭からぶっつかっていく>ことを毎日の習慣としたい。
自分の身体が「生きるとはそういうことだ」と憶えてしまうまで。

「青ざめてこわばったたくさんの顔に
一人づつぶっつかって
火のついたようにはげまして行け」
(宮沢賢治、「春と修羅」より)

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