今朝の日経の文化欄にアミール・ナデリというイラン人の映画監督の文章が載っています。
「私は路上で育った」という文で始まります。
「海に捨てられた空き瓶を拾い集めたり、靴を磨いたり、水を売ったり。
生き延びるための仕事はみんなやった。
浜辺の廃船で一人で寝起きした。
動く物に興奮した。
自転車、列車、飛行機。
港の外国船にあこがれた。
家族のいない私の足を止めるものはなかった。」
「一緒に遊んでいた友達がいなくなった。
どこにいるのかと思ったら、学校にいた。
私は8歳でようやく学校に入った。
字を読めなかったので、同じクラスに上がれるよう懸命に勉強した。」
「貧しいとは思っていなかった。
ないものを悔やみはしなかった。
自分の目的ははっきりわかっていて、それに向かって走る。
何か手に入れたら、友と分け合う。
そうやってずっと生きてきた。」
「私とキロアスは自分の経験しか映画にしないと決め、児童映画を撮り始めた。
『駆ける少年』を撮ったのはイランイラク戦争が始まり、親を失ったストリートチルドレンが急増したからだ。
この映画は作らなければいけない。
命がけで撮った。
戦争の真っ最中で、撮影場所が翌日は爆撃で破壊されていたこともあった。」
「NYでは毎週月曜日の朝に市役所の前で待ち構え、撮影許可を取りに来る人たちと知り合った。
米国は列に並ぶより、走って手に入れる国だ。
私は走る人だから成功できた。」
ここへきて、今年の最高の文章と出会いました。
嬉しい!
『駆ける少年』は12月22日に渋谷で公開。
観なくっちゃ!
Run!
Don’t walk!