「世界で闘う仲間のつくり方」

「世界で闘う仲間のつくり方」(ジェニー・チャン著)を読了。

著者はトレンドマイクロ社の創業者マイケル・チャン氏の妻であり、同社2代目CEOのエバ氏の姉でもある方。
自身も同社の共同創業者の一人であり、現在もCCO。

CCOというのはChief Culture Officerの略で、訳せば「最高文化責任者」。
この場合の「文化」とは「会社の文化」のことですね。
現在この肩書きは少しづつ普及しつつあるけれど、どうやら彼女がCCOを名乗ったのが最初のようです。

私はクライアント企業に、CLO=Chief Learnig Officerを置くように勧めているのですが、彼女が言うCCOもそれにかなり近い。
CCOの方がすこしミッションの幅が広そうだけれど。

トレンドマイクロの創業の際の生みの苦しみ、ITバブルが弾けたときの混乱、日本での上場、CEOの交代やその直後のトラブル。
それらに際して創業者グループがいかに処したか。
その一貫た、毅然とした対応振りに感動!

特に、「組織フィットネス」という言葉や考え方に大いに触発されました。
たとえばこうあります。

「会社の前途はあくまであかるいのだが、まさにそうであるからこそ、われわれは鍛錬してより強健な身体を作り上げ、挑戦を迎え撃たねばならないのだ。」

会社の「戦略草案」を顧客に開示して共に議論するといった作業にも驚嘆!
こうあります。

「これまで、顧客が営業マネージャーと面会すると、話題になるのはたいてい価格の交渉であった。
サービス部の場合は、製品の問題への対応や問題解決の要請であった。
今回は個別の営業や製品も問題点ではなく、方向性や戦略といった一段レベルの高い、革新的な議論がなされた。
つまり、単なる企業と顧客の関係から、ともに計画を練るパートナー関係へと転換したのである。」

ピーター・センゲの「学習する組織」論、弊社=インサイトのコンサルティングの底流をなす考え方の一つです。
クライアント企業が「学習する組織」へと成長し、「学習する組織」として成長することを願ってこれまでやってきました。
しかし、ここまでの成功例が実際に身近に存在することは知らなかった(反省!)。

トランス・ナショナル企業を謳うトレンドマイクロですが、元々は日本で上場した広義の「日本企業」。
だから、「学習する組織」を日本企業の中で実現することは可能なのだということが分かったことが最大の収穫でした。

いやはや、今年は年初からいい本との出会いが立て続けに起きている。
今年の私は「なにかもってる」のかもしれない。
嬉しい!

Thanks Jenny!

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