「時は何時でもかまわぬ、ほとんど昼夜の区別はない、
日が暮れたからといって寝ようとも思わずしきりに書を読んでいる。
読書にくたびれ眠くなれば、机の上に突っ伏して寝るか、あるいは床の間の床ふちを枕にして寝るかついぞ本当に布団を敷いて夜具をかけて枕をして寝るなどということはただの一度もしたことがない。
『なるほど枕がないはずだ、これまで枕をして寝たことがなかったのだから』とその時初めて気がつきました。」
(福沢諭吉、「福翁自伝」より)
読書にくたびれ眠くなれば、机の上に突っ伏して寝るか、あるいは床の間の床ふちを枕にして寝るかついぞ本当に布団を敷いて夜具をかけて枕をして寝るなどということはただの一度もしたことがない。
『なるほど枕がないはずだ、これまで枕をして寝たことがなかったのだから』とその時初めて気がつきました。」
(福沢諭吉、「福翁自伝」より)
福沢諭吉が緒方洪庵の塾で蘭学を学んでいた時の勉強振りを描いた文章の一節です。
高熱がでていよいよ寝なければならなくなって、枕を探したらない。
どうして枕がないのだろうと思ったら、枕などして布団で寝るなどということをついぞしたことがなかったことに初めて気がついたといっているわけです。
若き福沢とその仲間たちの汗の匂いが漂ってくるような文章ですね。
「福翁自伝」、面白くて、ためになるいい本です。
角川ソフィア文庫から出ています。
お勧めです。