<桜は散らない>

東京の桜が昨日がピークだったんだそうですね。
今日からは徐々に「花吹雪モード」になっていくんでしょう。
それもまた一興ですね。

さて、この時期になるといつも思い出すことがあります。
実は<桜は散らない>ということです。
<桜は散らない>、雨にも風にも負けない(宮沢賢治みたいだ)。

桜は、桜花は、それを愛でる私たちの都合で咲いているのではありません。
桜は桜の都合で桜花を咲かせているのです。
桜が桜花を咲かせる都合とは、それによって虫を集めて受粉を手伝わせる、というものです。

では、めでたく受粉が済んだら、桜はどうするか?
そのとき桜は桜花を<落とす>のです。
桜は<散る>のではない、桜はその用を終えたときに花びらを自ら<落とす>。

両親が住む実家の庭に落葉広葉樹が生えています。
落葉広葉樹ですから、秋になると紅葉し、そして冬になると落葉します。
庭には落ち葉のじゅうたんが敷かれ、枝は裸になって天を指します。

ある年に、その樹の枝が一本、秋口の台風で折れて落ちてしまいました。
いまだ紅葉していない青い葉をつけたままにです。

その枝の葉は、地面に落ちて、時がたっても紅葉しない。
枝から離れて散ることもない。
それは枝についたまま、緑のままに色あせて、ただ朽ちていった。

落葉広葉樹の紅葉と落葉もまた、「散る」プロセスではなく、樹が自ら「落とす」プロセスだ分かりました。
「散る」プロセスは「死ぬプロセス」です。
「落とす」プロセスは「生きる」プロセスです。

桜に戻せばこういうことでしょう。
桜は<潔く散っている>のではない、計画的に、意図的に花を落とすことによって<しぶとく行き続けている>のだ。

人が生きるということも、企業が生きるということも同じだと思います。
ドラッカーはこう言っていましたね。

「イノベーション戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。

イノベーションを行う組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。
昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる。」
(P・ドラッカー、「マネジメント」より)

再見!

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