admin のすべての投稿

怖ろしいこと

命がいつか終わってしまうことを怖れてはならない;
それがいつまでも始まらないことを怖れよ。
(グレース・ハンセン)

Don’t be afraid your life will end;
be afraid that it will never begin.

人は自分死について考えることを好みません。
考えることがおそろしいからです。
でも、本当におそろしいは、「本当に生きる」ということを最後まで経験することなく、人生が終わってしまうこと方です。

そうした経験をするどころか、「本当に生きるとはどういうことか」という問いにさえ出会うことないままに命が終わることも稀ではない。
それは本当におそろしいことです。

「困ったことがあったらな、 風に向かって、俺の名前を呼べ」

「困ったことがあったらな、
風に向かって、俺の名前を呼べ」
(車寅次郎、「『男はつらいよ』第43作、寅次郎の休日」より)

“If you have a trouble, call my name to the wind, OK?”

これは寅次郎が甥の満に対して言う台詞です。
叔父と甥という関係はなかなか興味深い。
甥にとって、叔父=親の兄弟という存在は親の権威を相対化する契機として機能します。

叔父の前では父も母も、兄弟=子供になるからです。

叔父と父・母との会話を聞いたり、また叔父と直接に会話したりすることを通して、甥(姪)は父や母にも子供時代があり、父や母もまた祖父や祖父母にとっての子として育ったということを知ります。
そういう認知は大変貴重です。

また、叔父(叔母も)の方でも、自分の子供にとっての親という権威とは違う次元の影響を甥や姪に与える独特なポジションにいるということを自覚しています。
彼(彼女)は、甥(姪)に対して、父(母)性=親性=権威性とは違う次元での大人性=成熟性を、時々のそしてしばしの遭遇の中で現前させねばならない。
これはなかなかのアクロバシーを要請する難題です。

その点、寅さんはよくそれを果たしていたと言えるでしょう。
アッパレ!

人は夫になったり、妻になったり、父になったり、母になったりすることを成長の契機にできますが、叔父になったり、叔母になったりすることをもってそうすることもできるのです。
そういうことが面白い。
ライフサイクルってよくできてますね。

なぜ山に登るのか?

—なぜ山に登るのか?
—帰る家があるから。
(みなみらんぼう)

Why do you climb mountains?
Because there is a home to come back.

みなみらんぼう氏は♪やまぐちさんちのつとむくん♪で有名。
わたしは彼の「コートにスミレを」をいう曲が好きです。

登山家としても知られていています。
還暦にマッターホルンに登ったそうです。

一昨日、車で聞いていたラジオで彼がゲストに出ていました。
その中で、アナウンサーが彼に尋ね、そして彼が答えた。
その言葉が上のものです。

彼はこう続けていました。
「山では山小屋とか、テントとかで寝る。
どうしても睡眠は浅くなる。
家に帰って、温かい布団でぐっすり寝る。
ああ家に帰ってきたなー、と思う。」

「訓練と行動を尊ぶ心」

「訓練と行動を尊ぶ心は、実は、大きな現実への信頼があってはじめてできることである。

現実の中に「論理的なもの」、「正しいもの」が必ずひそんでいることを信頼しきっている証拠なのである。」
(中井英夫、「美学入門」より)

Heartfelt respect for training and action only comes from conviction
that “something logical” and “something right” should exist in the world.

中井さんの名文です。
以下、こう続きます。

「これは大変なことなのである。
自分の肉体を信じ、この世界を信じ、歴史を信じ、人類全体を信じることなのである。

歴史を信じるというか、人類の歴史をよくしなければならないことに、全身を賭ける魂、その清らかな魂、強い魂の、果敢な態度が、その底に大きく横たわっている。」

「レントゲンだって」

「レントゲンだって、やっぱりね
ニッコリ笑って写した方がいいと思うの
だって明るくとれるものその方が」
(車寅次郎、「男はつらいよ」第32作、「口笛を吹く寅次郎」より)

Even when you take an X-ray, I think, it’s better to smile.
Because you can get a brighter picture.

胸のレントゲンをとるのに笑顔を作って見せる。
「チーーズ!」なんてね。
こういう「余分」なことをシステム論的には「冗長性」といいます。
車のハンドルのあそびみたいなものですね。

目的があって、機能があって、冗長性があって、循環的に作ってあるとシステムは持続可能性を獲得します。
というわけで、人生を持続可能なものとするために、次回のレントゲンの時にはニッコリ笑ってみましょう。

「やってみせ、言って聞かせてさせてみて、 ほめてやらねば、人は動かじ」

「やってみせ、言って聞かせてさせてみて、 ほめてやらねば、人は動かじ」
(山本五十六)

この言葉も日本人は大好きですね。
でも、これだけ「人口に膾炙」され続けてもなかなかそのとおりうまくやれる人がいないということは

A:この言葉の含意するところをうまく受け取れていない
B:この言葉が実は真理ではない

のどちらかだということになるでしょう。
まずはAの可能性を探ってみたいですね。

名言の含意するところを深堀するための一つの方法は外国語に翻訳してみるということです。
英語でも中国語でもフランス語でもなんでもいいんですが、まあ昨今なら英語ということになります。

友人の訳です。

1)
How to incite a person to act:
(1) Show an example.
(2) Explain.
(3) Let him do it, and
(4) Commend.

2)
If you want to incite a person to act,
show an example, explain, let him do it, and commend.

サイト上にはこういうのもあったそうです。

3)
Show them, tell them, have them do it, and then praise them;
otherwise, people won’t do anything.

なにか発見はありましたか?

人口に膾炙するーまたは、エジソンのこと

「私は失敗していない。
これではうまくいかないという発見を1万回したのだ。」
(トマス・エジソン)

“I have not failed.
I’ve just found 10,000 ways
that won’t work.”
(Thomas Alva Edison)

エジソンの言葉の中で一番有名な台詞ですね。
こういうのを「人口に膾炙する」(ジンコウニカイシャスル)と言います。

ある言葉が広く知られていて有名な様、のことです。

「人口」は人々の口、そのままですね。
「膾炙」は、「膾」(なます)と「炙」(あぶり=あぶり肉)。
なますとあぶり肉は味が良くて、みんな大好きという意味だそうです。
中国の古詩にあるらしい。

今日は国語の勉強でした。

ベートーベンは凄い2010~2011

2010の大晦日から2011の早朝にかけての「ベートーベンは凄い!」コンサートに行って来ました。
これで、3年連続、3回目です。

今回は指揮者が小林研一郎からマゼールに交代。
御歳80歳のマゼール翁が足掛け二日にわたって、ベートーベンの交響曲、全9曲を振る。
「だいじゅぶかいな」と思ってましたが、いやはや、「だいじょうぶ」なんてレベルではない。
まったくもって、すばらしい演奏で、感嘆したしました。

今回は、1番から9番をシリアルにやるのではなくて、(1・2)休憩(4,3)休憩(6,5)休憩(8,7)休憩(9)終演、という順でした。
2,4,6といった偶数番も気を抜けないいい演奏でした。
そして、5番、7番は圧巻!!

コバケンの動に対して、マゼールの静。
緻密でいて、同時に暖かい。
オケの団員のコメントによれば、スコアには強弱だけでなく、ブレスの位置までしっかりと書き込まれているとのこと。
彼曰く、「すべての団員に『自分のために振ってくれている』と思わせる」ようなタクティングなんだそうです。

また、一年分のエネルギーをチャージされた思いです。
ベートーベンも凄いけど、マゼールも凄い!

感謝!!

あかつき

金星探査機あかつきのことがニュースになっています。
TVである学者があかつきのプロジェクトの気象学上の意義について、こんなことを言っていました。

地球の気象というのは、地球環境という特定の環境での出来事に関するもの。
金星の気象に関する情報が付加されることで、気象学が「一般化」される。
地球気象学から一般気象学への離陸。
そして、一般気象学から地球気象学へのフィードバックがもたらされる。

特定の固定的環境下で生起する現象の客観化だけではなく、別の環境下での現象を観察~思考の対象に繰り込んで、一般化の次元をあげる。
この方法論がおもしろい。

日本という特定の、固定的な環境化でのビジネスに関連した多くの知見がすでに客観化されています。
しかし、これからはアジアや、おいおいは南米やアフリカでのビジネス現象も繰り込んで、より一般的な=普遍的なしかたで知見を積み増し、それを前提として仕事をしていかなければならなくなります。
そういうグローバル=全球的な経験が、日本人の仕事観の一般化の次元を上げ、それをより普遍的なものにしていく。
グローバル化への対応が、海外に出て行って働くことだけはなく、国内にもそのようにフィードバックされていく。
そうなったらいいと思います。

グローバル人材育成のお手伝いをしている身として、大変勉強になりました。
「あかつき」頑張れ!

軽みと真摯さ

新しいマネジメント像=軽み+真摯さ、だと言いました。
真摯さについては、ドラッカーの言が有名です。

ドラッカーの三大(?)名言
1:事業の目的は顧客の創造である
2:人はコストではない、資源である
3:マネジメントに必須な資質とは<真摯さ>である

では、<軽み>については誰がどんなことを言っているでしょうか?

「人は軽くあるべし」

これは蓮如の言葉です。
蓮如、Who?

では、ここを御覧ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%93%AE%E5%A6%82